三菱重工に口座

“踊り場”越えて
だが吉報は届いた。地場企業支援の目的に加えて、実績が認められ内部からの推薦もあったからだ。開設後に税務調査で「当時の売り上げ規模で口座が取れたのはおかしい、裏金でもあったのではないかと疑われていたようだ」と、北口は苦笑する。 ここから亀山電機は、一度踊り場を迎えた売上高が、再びうなぎのぼりとなった。口座開設の翌年度の05年3月期売上高は、前期比約2倍の2億3800万円。その後も5000万-1億円以上の幅で増収が続き、09年3月期に記録した当時過去最高の売上高につながっていく。 三菱重工との取引は、売り上げを大きく引き上げた。だが北口はそれに安住せず、常に新規顧客の開拓に力を入れた。05年3月期から09年3月期まで、売上高に占める新規顧客の比率は11-26%で推移。大口顧客で基盤を固めると同時に、常に売上高の積み増しを進めリスク分散に努めた。独製品も扱う
05年には、知人の紹介で独シーメンス製のプログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)の販売や設計・施工を開始。08年にソリューションパートナーに認定される。この海外製品の取り扱いは、後に独リタールなどにも広がり、現在の強みとなっている。 だが08年、リーマン・ショックが世界を襲った。攻めの経営で業績を伸ばし続けてきた北口も免れ得なかった。(敬称略)(2013.8.21日刊工業新聞より)